2021/11/20

野崎ダム



野崎(のざき)ダム
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A
Ver.1


長崎県の五島列島・野崎島に野崎ダムというダムがある。住人が島を離れてしまったため、現在は事実上の無人島となっている。

島内からは旧石器時代の遺跡など多数出土しており、太古より人が住んでいたと思われる島である。江戸時代には潜伏キリシタンが移住し、1908年には野首教会が建てられた。

1950年代には3つの集落が存在し、合わせて650人以上が暮らしていたが、高度成長期の集団離村などにより人口は急減していく。2001年には最後の島民とされた島の神社の神官が離島したとされる。

──そんな島に、ダムがある。

興味を持ったそのタイミングで、奇遇にも友人が「五島列島の教会巡りをしたい」と言ってきた。野崎島には野首教会がある。教会のついでにダム?ダムのついでに教会?みたいな状態で「行ってみよう!」とカジュアルに話に乗ってしまった町田であった。w

まずは計画

野崎島に行く方法をネットで調べた。野崎島は2キロ西にある小値賀島を主体とする小値賀町に属する島だ。野崎島に渡る方法として、小値賀島からの定期船があることが分かった。

※詳細はおぢかアイランドツーリズムにあるとおりなので具体的に行程調査を進めたい方はこんなの読んでないでサッサと飛んでいってくださいねw

ルート初案

飛行機で前日に福岡入りし、福岡港から「フェリー太古」を利用して一眠りしながら小値賀島に行き、町営船「はまゆう」を利用して野崎島に渡るルートを考えた。

「はまゆう」運航スケジュールを見ると、朝に1往復、夕方に1往復の、1日2便のみであった。朝の便で入島すると、夕方の便まで島に軟禁されることになるw(言い方…w 実際のところ、野崎島には色々な史跡や鑑賞スポットがあるので、真面目に島探索するとしたら夕方では間に合わないかもしれないぐらいな島であることは付記しておく)

……が、私が観たいのは「野崎ダム」だ。そして近隣の島の教会巡りが今回の旅の主目的でもあった。(ダム愛好家なのにダムは二の次なのかというツッコミは甘んじて受けるw)ダムと教会1つ見るだけで1日費やすのはちょっと時間が勿体ない……。

なんとかならないかなぁと思っていたら「海上タクシーを使うという手もありますよ」というアドバイスを得た。……が、なんだその「海上タクシー」とは???

小値賀島やその周辺の島の漁師さんが、漁船で島に渡してくれるのだ。しかも都合が合えば好きな時間に、だ。費用も「だいたい往復で1隻1万円位みておいて貰えば大丈夫ですよー」ということだったので、これは試してみる価値があるのではないか…?と海上タクシー利用案を考えることにした。

ルート改定案

飛行機で前日に福岡入りし、福岡港から「フェリー太古」を利用して一眠りしながら小値賀島……を越えて中通島(青方港)まで行き、レンタカーで中通島北端にある津和崎まで小一時間走り、津和崎港から海上タクシーで野崎島に渡るルートである。

野崎島で2~3時間滞在し、また迎えに来てもらって、そのまま中通島北部の教会を巡りながら南下していくという詰め込まれた行程案が組み上がることとなった。


そして実行

とある週末に福岡まで飛び道具(意訳)で飛んで行きまして、福岡観光(また別記事で上げる予定)した後、博多埠頭ターミナルへ。
目に刺激的なタワーw

フェリー太古


フェリーの乗船は21:45から。2等船室(雑魚寝エリア)は場所取りが早いもの勝ちなので、なるべく早く乗船しといたほうが快適な寝床が得られるでしょうw

航路と船の現在地が示されている


船内では、大きなモニターに航路および現在地が示してあって、今どこかな?てのがすぐ分かるようになっていた。

青方港着・お世話になりましたー☆


23:45に博多港を出港。宇久・小値賀を経由して、中通島の青方港には5:40到着。

島内での相棒♪


トヨタレンタカー有川さんで予約した際に、フェリーで上陸予定だと伝えたら、先に車を用意してくれていた。先にレンタカーに乗っててOKと。営業時間になったら店舗に来て利用手続きしてくださいね、という神対応を頂いた(感謝)。
おかげで、日の出と共に中通島にある青方・宮ノ川のダム2基を巡って(これもまた別記事で上げる予定)から店舗で利用手続きし、津和崎までかっ飛ばすという行程を組むことに成功した(重ねて感謝)。

津和崎丸

レンタカー店舗から海上タクシーの待つ津和崎港まで、コンビニで食料調達したり軽くパン食べたり、途中1箇所教会に寄り道しつつ1時間半。予約時間ほぼぴったりに到着し、挨拶もそこそこに津和崎丸に乗り込む。

天気が良かった(雲ひとつ無いピーカン☆)ので、船首に乗って、全身で海を感じながら野崎島へGO☆

教会が見えた!が港は一山越えた先にありw 

到着ー☆


10時前に野崎港到着。30分かからず到着である。
島の管理者が待ってくれていたので、ざっくり島の説明と注意事項を受けて、いざ行動開始。

あちこちで鹿に遭遇した


人が居なくなった野崎島では、鹿が島を守っていた。今は約700頭いるという鹿に何度も遭遇した。鹿が食べられる草や葉っぱは片っ端から食べられていて、木々はニンゲンの目の高さぐらいまでスッキリとしているし、地面は芝刈りしましたか?って思うぐらい綺麗に刈り取られている状態。ニンゲンに近づいてくることは無かったが、逃げるわけでもない、なんとも言えない距離感で見守られなから歩を進める。

旧野首教会

旧野首教会。事前情報では、野崎港から徒歩20分ということだったが、結構なアップダウンであることと、色々と見どころ満載でゆっくり進んだので40分ぐらいかかったと思う。

※野首教会の訪問記は内容重複している部分も多いですがnoteで教会巡り記事を紹介しているので、お暇なときにでも観て下さいw → 上五島教会巡り(01)旧野首教会


野崎ダムへと続くゲート

旧野首教会を過ぎるとゲートがあった。周辺も柵……があるんだが……この島に吹く風の強さを物語る変形っぷりだった。(訪問時も多少の風はあったけど)


野崎ダムが見えてきた

ゲートを越えてずんずん歩くと野崎ダム湖が見えてきた。その向こうの海と繋がって見えてしまい、防波堤のようにしか見えないが、真ん中に伸びているのが堤頂部だ。


うん、堤防w←

上流(?)側から堤体を望むが、見事に堤防っぽいw


洪水吐

洪水吐は自由越流式だ。よくあるフィルダムの洪水吐スタイル。


説明パネル

野崎ダムについての説明パネルがあった。2001年竣工。このダムの受益地は隣の小値賀島である。小値賀島内にダムに適した土地が見いだせなかったため、野崎島に白羽の矢が立った。

説明パネル(部分拡大)

繰り返すが、受益地は隣の小値賀島である。ここで水を溜めたところでどーすんだ?と思ったら、なんと海底パイプラインで小値賀島まで水を送っているのだ(驚)。送られた水は、小値賀島のかんがい用水として活用される。

ついでに言うと、野崎島には河川は無いw。じゃあ集水はどうしたんだ?ってーと、地表に溝掘って、地表に降り注いだ雨を表面から溝に誘導して、野崎ダムに溜めていってるのだw 上図にある野崎ダムから3本伸びてる線が導水路らしい。

初めて聞いた「承水路工」

天端を越えて野崎港の方に向かって歩いていたら、説明パネルが現れた。表面の水集める水路を承水路って言うそうだ。野崎ダムに来なかったら全く知らなかった。

もうなんというか、水を得るための苦労をひしひしと感じる構造物たちである。


野崎ダム

海側から野崎ダムを望む。堤高29.8m、堤頂長217.0m。ちなみに、計画当初はもう少し大きい(高い?)ダムを予定していたようだが、旧野首教会など主要な観光資源などとの景観の兼ね合いもあり、少し小さく修正されたようだ。

小さく修正された分、貯水量が減るわけだが、小値賀島側で貯水池を作り、そちらでも溜めることで不足分を補っている模様。


野首港

更に下っていくと野首港に着く。ここから海底パイプラインで野崎ダムの水を小値賀島に送っている。天気が良かったことも相まって、海がとても美しかった。空の青、海の青を満喫した。

【注意事項】
野崎島に入るには、どの手段で入るにしても、入島申請が必要です。必ず訪問1週間前までに連絡をいれるようにしてください。

■DAM-DATA
ダム番号3096
型式アースダム
余水吐自由越流式
所在地長崎県北松浦郡小値賀町野崎郷野首(野崎島)
河川名集水路水系
堤高・堤頂長29.8m・217m
総貯水容量282千m3
管理者長崎県
本体着工/完成年1989年/2001年
※記載情報は訪問した時点の情報です。状況が変わっていることがありますのでご了承ください。
Location: 野崎ダム

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